記事の内容は、
●読み終わったら、5種類の「感想文の材料」を書き出す。
●文のつくりを確認→タイトルを用意→材料をもとに感想文を書く
●まとめ|読書感想文は「急がば回れ」
●豆知識|注意点、評価アップ法、読書感想文を書く理由
こちらの記事を書かせて頂いたのは、
●開校5年半で、新潟県内トップ私立高校合格者を輩出。
●年評定平均:中学時代3.7→高校進学後4.9、4.8の塾生を輩出。
●サポートした不登校の卒塾生、大学へ進学。
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2020年3月開設15ヵ月目で月間4万PV超達成。
●元公立高校教員
●現役カウンセラー
本を読む
はじめに|読まないで書く!は有り?
塾生さんから必ず聞かれるのが、この質問です。
あらすじやレビューだけ見て書くこともできなくはないですが、文字数を稼ぐのに苦労したり、あらすじで感想文が埋め尽くされたり、つじつまが合わなくなったり、かえって時間がかかったりと、デメリット満載の書き方。
良い評価をもらえないことが多いので、おススメはできません。
効率を考え、時間を節約したいなら、本を読み、これからお話しする書き方ですすめる方がよほど時短になりますし、評価される感想文に仕上がります。
本の選び方
自由図書:好きなこと・ものに関する本、読みたい本
本の読み方
読書感想文の本は、文学的文章と実話がほとんどで、論説などの説明的文章は少ないもの。
めんどくさい!、書かなきゃ!と焦って流し読みしていると、内容が頭に入ってこなくなります。
本で取り上げている「出来事」、登場人物の「気持ち」、登場人物の「セリフやアクション(言動)」に注目して追いかけていくように読み進めると、内容が頭に入りやすくなるのです。
長文がほとんどですから、途中で
と、こんがらがったり、わすれてしまったりすることもあります。
そこで、是非やってもらいたいのが気になったところに印をつける作業。
読み終わったら、まずやること
感想文の材料を書き出す
② この本を選んだ理由
③ 本のなかで気になって印をつけたところ
④ 読んで頭にうかんだこと
⑤ この本全体から感じたこと
①本の作者は、こんな人
多くの本の、最初か最後に作者の簡単な紹介文が書いてあります。
この紹介文をもとに作者がどんな人か、だいたいでいいので書き出しておきましょう。
②この本を選んだ理由
自分の部活に関する内容の本だから…
自分が以前体験したことについて書かれている本だから…
タイトルと表紙が気に入ったから…
など、貴方なりの理由があって読む本を選んだはずです。それをそのまま書き出しておきましょう。
③本のなかで気になって印をつけたところ
読んでいるときに気になって印をつけたところを、書き出しましょう。
出来事、登場人物の気持ち、印象に残ったセリフや登場人物のアクションを書き出します。
最後の方の出来事を、最初に書き出してしまうと感想文を書くときに混乱してしまいます。
内容の流れにそって、印をつけた最初の方から順に書き出していきます。
④読んで頭にうかんだこと
「気持ちを揺さぶってくれそうな本」なら、読み進めるうちに、いろんなことが頭をよぎったのでは?
感じたこと、共感したこと、考えたこと、自分の経験・体験、読むことで思い出したこと…
小さなことでもいいので、頭に浮かんだことを、できるだけたくさん書き出してみましょう。
印をつけたところを読んで頭に浮かんだことは、
と、わかるように書き出しておくと、あとで見返す時にわかりやすくなります。
⑤この本全体から感じたこと
本を読み終わって、全体から感じたことや頭に浮かんだことは、最後にまとめて書き出しておきます。
その中には、作者がこの本をとおして読者に伝えたかったことのヒントが含まれているからです。
気づいたことや考えたことは、全て書き出しておきましょう。
ここまでくれば、感想文の8割は完成!
あとは、この材料をもとに、感想文に仕上げればいいのです。
感想文を書く
紙に書き出した「材料」をもとに、感想文を仕上げましょう。
原稿用紙5枚分、2,000字を目安として見ていきます。
タイトルつける
タイトルは仮の題を付けます。「○○を読んで」で十分です。
と、あれこれ悩むだけ時間の無駄。
あとから変えられますので、とりあえず仮のタイトルを原稿用紙に書き込んで、次の作業へ進みましょう。
感想文のつくり(構成)を確認する
感想文にも「つくり」があります。
このつくり(構成)と流れで、書き出したことをまとめていきます。
感想文を書く|材料をつくり(構成)ごとにグループ分け
書き出した材料はバラバラ。このままでは感想文になりません。
そこで、感想文の「つくり」にあわせてグループに分けていきます。
序論の材料
書き出した材料のうち、初めに書いた「①作者はこんな人」+「②この本を選んだ理由」が「序論」に使えます。
2,000文字の感想文でしたら、200文字前後、原稿用紙半分ちょっとの長さにしておきます。
長い序論は、読みにくくしてしまうだけ。①+②をもとに序論を書けば、200文字はあっという間に埋まります。
本論の材料
材料の「③本のなかで気になって印をつけたところ」+「④ 読んで頭にうかんだこと」を使って「本論」を書いていきます。
「気になったところ」の
● なぜ気になったのか?
● ここを読んでどう感じたのか?
自分の体験を例として書き出しながら書いていきます。
書き出した材料から3つほどにまとめて、自分の体験から「考えたこと」を書いていくと、1つにつき400文字くらいならあっという間に埋まります。
3つというのはあくまで目安、1つ400字で書けば原稿用紙3枚分です。
結論の材料
材料の「⑤この本全体から感じたこと」をもとに結論を書いていきます。
本を読み終わって、全体から感じたことの中に、作者が伝えたいことが含まれている場合が多いものです。
本論で書いたことを1つにまとめて結論にむすびつけるのも良い方法です。
原稿用紙1枚程度でまとめるようにしましょう。
貴方が気づいて考えた「作者が伝えたいこと」は、この本を読んで貴方が学んだことでもあります。
最後に、この本で学んだことを、自分にどう活かしていきたいか?を書きこめば、読書感想文の完成です!
説明してきた書き方にそって書けば、だいたい4枚半~5枚程度でおさまります。
最後に、書いた文章に合わせて、仮タイトルを本タイトルに書き換えるのを忘れずに!
まとめ
こちらの記事の内容をおさらいすると、
●読み終わったら、5種類の「感想文の材料」を書き出す。
●文のつくりを確認→タイトルを用意→材料をもとに感想文を書く
●まとめ|読書感想文は「急がば回れ」
●豆知識|注意点、評価アップ法、読書感想文を書く理由
と聞かれることもあります。
読書感想文が課題の最後に残ってしまったり、本を読んでなかったりで、焦る気持ち…
ですが、実際にやってみると、書きやすさ、スピードとも
材料が有る方が無いよりはるかに良いのです。
読書感想文を普通以上のレベルでスムーズに終わらせるポイントは、とにかく「作業」に集中すること。
はじめから良い文を書こうとすればするほど、筆が止まってしまいがち。
「選ぶ」、「読む」、「印をつける」、「書き出す」、「まとめる」。
一つ一つの作業に集中するようにして、手順通り進めれば、
そんな感覚になるはず。
「急がば回れ」は、読書感想文の書き方にも当てはまる考え方ではないでしょうか。
少しでもお役にたてましたら幸いです。
豆知識|注意点、評価アップ法、読書感想文を書く理由
読書感想文を書くときの注意点
塾生さん達からの相談内容から、注意点をピックアップしました。
読書感想文、出す?出さない?
内容はどうであれ「出す」と「出さない」では、雲泥の差。
出さなければ、読書感想文としての評価は付けられず「C」確定です。
「出す」にしても、「期限を守る」、読む本や原稿用紙の枚数など「条件を満たす」といった、誰でも平等に評価できる基準はしっかり満たして提出しましょう。
こういった「基準」は、教員にとっても評価の差をつけやすいポイントになります。
教科の5段階評定(成績)は、定期テストだけでなく授業や提出物、小テストなどそれぞれの評価の積み重ねで決まることを忘れないで欲しいのです。
書くときに気を付ける点は?
● あらすじは要約して少なく!
● 漢字で書ける語句は漢字で!
評価を上げる方法
つくり(構成)で差をつける
「序論」、「本論」、「結論」の構成で書くとお話しましたが、
最初にドカンと「私はこう思う!」と結論をもってきて「なぜならば」と本論に進めて、最後に「だからこう思う!」ともう一度「結論」でしめくくる書き方もあります。
はじめに結論をもってくることで読み手に強いインパクトを与えられますし、
と本文に引き込むきっかけにもなります。
高評価をねらうなら、試してみて損はない「つくり(構成)」です。
タイトルで引きつける
タイトルだけで「どんな本だろう?」と興味を引くことだってできるのです。
例えばタイトルが「私の心を殴った○○(本のタイトル)」だったら、
慣用句、ことわざ、格言、名言を入れてみる
例えば、
●「あせってやって、かえって時間を無駄にする」と書くより「急がば回れ」ということわざで表現してみる。
●「巧言令色」なんて格言を使ってみる。
●「“壁というのは、できる人にしかやってこない”とイチロー選手も言っているように」なんて名言を入れてみる。
ほんの少しの工夫が、貴方の感想文に奥行きや厚みを与えてくれます。
ただし、間違った使い方や誤字脱字には気をつけましょう。
感想文、何の役に立つ?
読書感想文で身につく力は、一言でいうと「自分を表現する力」といってもいいでしょう。
面接での自己PRやPRシート、エントリーシートなど、高校入試、大学入試、入社試験だけでなく、これから先の人生の様々な場面で「自分を表現する力」が試されます。
読書感想文に取り組むことは、自分の体験・経験と自分の考えを結びつけて、自分の言葉で表現する力を身につけるための練習でもあるのです。