お友達とゲームで楽しく過ごすのもいいけど、
他のことにも挑戦してくれたら…
知育教材も色々試してみたけど、どれも最初だけで長続きしない…
そんな夢のような知育教材…何かありませんか?
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折り紙の歴史:折り紙が知育に導入されたのは?
かたつむりとカエルたち
(子育て相談会にて、講師作)
日本の「折り紙」は600年以上の歴史があるそうですが、折り紙の教育効果に着目して教育の世界に取り入れようとしたのは、ドイツの教育者で幼児教育の祖(「幼稚園」という言葉を作った)といわれるフレーベルでした。
それから現代までの約200年、様々な知育教材が大量に生み出され続けていますが、幼稚園、保育園、小学校、放課後児童クラブ(学童保育)などの教育現場では、今も知育教材の一つとして「折り紙」が活用され続けています。
これだけなら、とりたてて説明するほどのこともありません。
折り紙に再び注目が集まるようになったのは、近年の脳科学分野の研究結果からなんです。
成績アップダウンの要因にメス!脳科学の研究結果
世界的に有名な日本の数学者川崎敏和教授が生み出した折り紙「トカゲ」
(講師作)
ニンテンドーDSで大ヒットした「脳トレ」シリーズの監修者として知られる東北大学加齢医学研究所の川島隆太教授は、研究チームの一員として5歳~18歳の健康な子ども達240人を対象に行った調査結果を2016年の1月に発表しました。
どんな調査かというと、子どもたちの「平日のゲーム時間と知能の関係」を、1回目と3年後の2回目の検査結果を比較して分析したものでした。
その結果、初回検査時に長時間のゲーム習慣のあった子どもは言語性知能が低く、3年後の検査でも一層の低下につながっていたというのです。
また、同教授による最近の調査によると、子どもから大学生までを対象とした研究では「スマートフォンとLINEなどのアプリの使用は成績を下げる」という結果も出ているとのことです。
※川島教授の研究結果については、賛否両論ありますが、初めにあげた研究結果は、ゲームが人の発達期の言語機能や神経メカニズムに悪影響を与えることを明らかにした画期的な研究として、米国精神医学雑誌「Molecular Psychiatry」に採択されています。
一方、川島教授が子どもから高齢者に対して実施した別の研究では、「折り紙」、「編み物」など「手を使って何かをつくりだす創造的な行為」で、「前頭前野」が活発に働いたという結果がでているそうです。
また、折り紙に関する書籍の監修も行っている杏林大学杏林大学医学部(精神神経科学教室)の精神科医古賀良彦名誉教授は、「折り紙」は、目からの情報処理を行う「後頭葉」、色や形、音などを識別する「側頭葉」、形のバランスを立体的に捉える「頭頂葉」の3つの部位を稼働させる優れたコンテンツで「脳全体をバランス良く使うので、加齢による衰えの予防が期待できる」と説明しています。
この3つの部位のうち、ちょうどオデコの奥にある脳の前の方「前頭葉(前頭前野)」は、人間の集中力、想像力、意欲などをつかさどっているいわば「脳の司令塔」。
この「脳の司令塔」を活発に働かせてくれる「折り紙」は、加齢による衰えに効果的なだけでなく、子ども達への教育効果も期待できることが、脳科学分野の様々な研究結果からわかってきたのです。
折り紙に期待できる教育効果とは?
Jo Nakasima氏のオリジナル折り紙「ヘラクレスオオカブト」
(講師作)
折り紙を完成させるためには、いくつもの工程があります。
その工程ひとつひとつが脳の前頭葉を活発に働かせてくれるとのこと。
前頭葉を刺激することは、脳の発達に良い影響を与えてくれますし、様々な能力をアップさせてくれるのです。
折り紙でアップする力
「図形を認識する力」
折り紙を作るとき、まず最初に見るのが完成形。
目標の完成形にするために本などを見ながら四角い紙に折り線をつける、
途中の形が合っているのか、違う形になっていないかなど、最初から最後まで「図形」をしっかり理解することを求められるのが折り紙の特徴のひとつ。
折り紙に挑戦することで、「図形を認識する力」が自然と鍛えられていくのです。
「考える力」
最初から最後までのどの段階でも、間違えて折ってしまったら完成させられなかったり、違うものができてしまうのが「折り紙」の特徴のひとつ。
「ここは山折かな?」
「この部分を裏返すって、こうかな?」
「間違ったみたい!どこまで戻ればいいかな?」
製作過程のどの段階でも、「考える力」を鍛えてくれるのです。
「集中力」
ぼーっとしていれば、途中で間違えてしまったり、間違い自体に気づかなかったり…
上手に完成させるには、集中力も必要になってきます。
「想像力」
「今は足の部分を折っているんだな。」
「あと3回折れば、顔が完成するよ!」
など、完成形を思い描きながら作業をすすめるには、先を予測する力も必要になります。
また、完成品の飾り方や、自分なりの工夫でオリジナル作品に仕上げたい時は、想像力を働かせることが必要になってきます。
全く新しいオリジナルの作品を考えて作ってみることは、最も想像力を高めてくれる取り組みの一つといえるのです。
「コミュニケーション力(2人以上)」
お母さまお父さまと、また、お友達とつくるときは、黙って作業し続けませんよね。
「ここ、どうやって折るのかな?」
「そこは、こう折ると上手くいくよ!」
上手に作りたいと思ったら、回りの人と協力することも時に必要になります。
間接的にではありますが、コミュニケーション力をアップさせることもできるのです。
「色彩感覚」
「かっこよく作るには、どんな色がいいかな?」
「どんなふうに組み合わせたら、ステキな色合いになる?」
作るものと色の関係や、色の組み合わせを考えることは、色彩感覚を養う上で良い刺激を与えてくれます。
「意欲アップ」
作品を見せあったり、プレゼントしたり、実際に目の前で作って見せたりすると、最初は乗り気でなかった生徒さんも、目を輝かせて挑戦してくれます。
一つ上手く作れれば、達成感や満足感を得ることができますし、小さいですが間違いなく「成功体験」の一つになります。
成功体験は「次はこんなのを作ってみようかな…」につながっていく…
挑戦する意欲を高めてくれる効果も期待できます。
「忍耐力」
折り紙に間違いはつきもの。
少し戻ってみる、新しい紙で最初からやりなおしてみる、別の作品に挑戦してみる…
どうしても投げ出したくなるなら、クシャクシャにしないでそのまま放置してまた、日を改めて挑戦してもいいと思います。
あきらめずに作品を完成させることができれば、喜びもひとしお。
また挑戦したくなりますし、前回より粘り強く取り組むことができるようになるはず。
「あきらめない力」を育ててくれます。
「折り紙」の教育効果を高めるための、3つのポイント
Tadashi Mori氏のオリジナル折り紙「プテラノドン」
(講師作)
様々な効果が期待できる「折り紙」。
取り組むなら、効果を最大限引き出してくれる方法で挑戦したい!
そんな方に折り紙の効果を高めるポイントを3つご紹介します。
なるべく作ったことのない作品に挑戦する。
上手にできた作品はまた作りたくなるものですが、慣れてしまうと脳の司令塔「前頭葉」への刺激は減っていくとのこと。
1つの作品を2~3個作ったら、簡単なものでもいいですから作ったことのない作品に挑戦していくと、前頭葉を活発に働かせることができるそうです。
作ったものを使って遊ぶ折り紙(手裏剣や紙飛行機、ぴょんぴょんがえるなど)の場合は、作り方や完成度によって結果が変わってきますので、作るたびに工夫が必要になりますから、何度も挑戦することに向く作品といえるでしょう。
本や雑誌などの紙媒体の作り方を見ながら作る。
最近は動画で作り方を紹介する方もいらっしゃる「折り紙」。
本や雑誌などに載っていない作品の作り方も紹介されていたりして、それはそれで大変魅力的ですが、脳を効果的に鍛えるなら本や雑誌などの「紙媒体」がおすすめ。
本で説明する作り方は、略図で描かれていたり、「谷折りは点線、一点鎖線は山折り」などの図を見る時のルールがあったり、紙面の制約から工程を1つ飛ばしていたりと、脳を刺激してくれる材料の宝庫。
タブレットやパソコンを置いて、本で作り方をじっくり見ながら作品を仕上げていけば、活発に前頭葉を働かせるきっかけを、より多く与えてくれます。
2人以上で作る。
お母さまお父さまとお子さん、お友達同士など、2人以上で取り組めば、間違いに気づけたり、完成させられる確立もアップさせられたりといいことづくめ。
親子や友達同士のコミュニケーションもはかれますし、完成品で遊んだり一緒に飾ったりすれば会話もいっそうはずみます。
楽しい記憶は、また挑戦したい!というモチベーションアップにつながっていくはずです。
まとめ
フチモト ムネジ氏のオリジナル折り紙「サンショウウオ」
(講師作)
スマートフォン、タブレットなどのツール、アプリやゲームなどのコンテンツは、とても便利で楽しいものです。
ですが、使いすぎ、やりすぎは、子ども達だけでなく大人にも悪影響を与えることが、最新の脳科学の研究からも少しずつわかってきています。
折り紙を一つ作ってから勉強に入れば、集中力の高い状態で学習に取り組めますし、勉強と勉強の合間の息抜きにも最適。
できた作品を玄関やテーブルに飾れば、関心のなさそうな中学の男子生徒さんも興味をもってくれますし、部屋に彩をそえてくれます。
※写真の作品は、すべて正方形の紙1枚で1箇所も切らずに作られています。
スクールNOBINOBIの授業や教室、イベント・講演でも、「折り紙」は子ども達に大人気!
講師が作る四季折々の作品は、保護者を含め、訪れる皆さんを今日も笑顔にしてくれています。
集中力と想像力、意欲を引き出し、高めてくれる優れた効果が期待できる「折り紙」。
100円ショップにいけば、小さいものから大判のものまで、ラインナップも豊富で、簡単に手にはいります。
紙さえあれば、いつでもどこでも気軽に挑戦できるのも折り紙の魅力。
たまにはスマートフォンやタブレット、ゲーム機を置いて、お子さんと一緒に楽しんでみてはいかがでしょう。
きっとお子さんの潜在能力を引き出す、これまで気づかなかったお子さんの才能に気づく、そんなきっかけを与えてくれるはずです。
それにしても、200年も前に折り紙の教育効果に気づいたフレーベルの先進性は、驚くばかりです。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。