個別指導塾を新潟市で運営中のNOBINOBIは、マンツーマンの学習支援に力を注いでいます。
立体の学習は、塾生さんの目の前で展開図を描いたり、教科書や参考書で見取図(投影図)や正面図、側面図、平面図、公式などを確認してもらいながら、丁寧に解説するよう心がけています。
それでも、
という生徒さんもいます。
なかなか理解できず、イメージもしにくい……
そんな立体が苦手な塾生さんは、性別に関係なく一定数いる印象。
NOBINOBIでは、苦手意識の強い生徒さん達も理解できるようアプローチを工夫しています。
こちらの記事は、図形、中でも立体に苦手意識を持つ生徒さん達と保護者の皆様へ、個別指導塾スクールNOBINOBIでの取組み事例をご紹介。
苦手克服に効果的なアプローチについてお話ししていきます。
- 記事の内容
●“展開できる立体”が、苦手克服に役立つ理由
●“展開できる立体”で立体の苦手を克服した生徒さんの具体例
●まとめ
となっています。
- 記事の信頼性
こちらの記事を書かせて頂いたのは、
●開校5年半で、新潟県内トップ私立高校合格者を輩出。
●年評定平均:中学時代3.7→高校進学後4.9、4.8の塾生を輩出。
●サポートした不登校の卒塾生、大学へ進学。
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●元公立高校教員
●現役カウンセラー
苦手意識の強い生徒さんでも、少しの工夫で
目次【タップでジャンプ】
図形の立体、“展開できる立体”で理解度アップ!
図形、中でも立体に苦手意識を持つ生徒さん達に効果的なアプローチ。
NOBINOBIが考えるポイントは、
●“展開できる立体”は、簡単に作れる
●生徒さん自身で“展開できる立体”を作れば、効果倍増
の3つです。
なぜ“展開できる立体”だと理解度アップ?
現在の文部科学省学習指導要領では、小学4年生で立方体や直方体の見取図や展開図の勉強が始められる、となっています。
小学校では、積み木のような教材を使いながらおこなわれる授業も……
中が詰まった実物の教材で説明したあとは、教科書やプリントの紙上の図形で授業がすすめられます。
空間認識能力の高いお子さんは、
のイメージを頭の中で変換できて、すんなり理解できますが、
そうでないお子さんたちは、実物と図が頭の中でうまくつながらない場合もあるのです。
理解力は問題ないのに
と思ってしまう生徒さんたち。
もしかしたら、立体の理解を助ける大切なステップが抜けてしまっていることが原因かもしれません。
“実物”と“図”の間に、もう1ステップ“展開できる立体”があれば、
⇓
展開できる立体
⇓
図形
の順で理解の階段をスムーズにステップアップ!
“展開できる立体”を使った丁寧な説明なら、理解の穴を埋めることができ、苦手意識の克服につなげられるのです。
“展開できる立体”を、簡単に用意する方法
近年は、立体の学習教材も充実していて、このような
例えば、
左から、
→ 直方体
●トイレットペーパーの芯と厚紙
→ 円柱
●シャツについてきたボール紙
→ 円すい
●お菓子の空き箱
→ 三角すい
写真の黄色いボールは、100均の樹脂粘土で作った球、
写真の他に、しょうがチューブの空き箱で三角柱も作りました。
材料となる厚めの紙と、ハサミなどご家庭にある文房具、カッターマットなどの下敷きがあれば、全部あわせても30分ほどで完成。
円柱は、芯をハサミでまっすぐ切り、丸く切った厚紙をテープでとめるだけ、
直方体は、接着面を1ヵ所切り取って、空き箱のノリを気を付けてはがすだけです。
手先が器用でない人も、1時間もあれば“展開できる立体”をいくつも作ることができます。
家にあるものを再利用していますので、
マジックで書き込んだり、バラバラに分解しても問題なし!
アイデア次第で、いろいろな学習に活用できます。
立体の理解を助ける教材は、
購入しなくてもご家庭で簡単に用意することができるのです。
図形の立体が苦手な生徒さんへのアプローチ、具体例
この生徒さん、小学生のころから図形が苦手。
中学生になっても、立体を学ぶ単元で苦戦していました。
あらかじめ
と意思表示してくれていましたので、とくに丁寧に解説するよう普段から注力。
ところが、参考書の解説図を見てもらいながら詳しく説明したはずの“円錐(すい)”の復習、以前と同じ表面積・体積の出し方で、またつまづいてしまったのです。
それならばと、展開図を目の前で実際に描き、教科書の公式も再度チェックしてもらいながら、もう一度丁寧に解説。
と確認したところ、
との返答。でもこの時、こちらに目線をむけず筆者が描いた図形をジッと見つめて固まっているように見えたのです。
この様子では、苦手意識がへるどころか、次の定期テストで失敗しかねない……
“これからどうする?”と悩むうち、
と気づいたのです。
そこで、教材研究時に立体を実際に作ってみることに。
お菓子の空き箱などを利用して、全て展開できるように工夫しました。
厚紙で作った円形コースターを貼りつけています。
最後に、表面積と体積の出し方をそれぞれの立体に書き込んで完成!
次回サポートで使ってみることに……
さて、次のサポート。
と、塾生さんに声をかけてから、作った立体をテーブルに並べはじめると、
問題集から顔を上げて紙の立体をチラ見。
と驚いたような顔で、微笑んでくれました。
“展開できる立体”を、目の前で開いたり組み立てなおしたりしながら、3度目の解説。
テストまでの間、自宅でいつでも見返してもらえるようにと全部渡しました。
その後、本人の努力の甲斐もあって、定期テストでは練習時よりミスが大幅に減って、得点も2割アップしたのです。
この経験以来NOBINOBIでは、図形の立体が苦手な塾生さんに“展開できる立体”で解説するようになりました。
今では、NOBINOBI人気コンテンツの一つになっています。
まとめ:図形の立体、苦手を克服するアプローチ
こちらの記事では、
●“展開できる立体”が、苦手克服に役立つ理由
●“展開できる立体”で立体の苦手を克服した生徒さんの具体例
についてお話ししてきました。
日々のマンツーマンサポートでは、苦手なお子さんの中に
見取図(投影図)の、実際には見えない“点線(破線)で表す辺”が何を意味するのか、イメージできない生徒さんもいる
ことに気づきました。
そんな生徒さん達に、実物からいきなり紙上の図形を理解させようとしても、本人にとっては高い壁と感じられることもあるのです。
実物と紙上の図形の橋渡してくれる“展開できる立体”があれば、実話で取りあげた生徒さんのように、
⇓
展開できる立体
⇓
紙上の図形
が頭の中でつながり、
と、理解できるようになるのです。
実は、先ほどの自作立体のうち2点は、教科書に出てきた問題と全く同じ形、サイズで作っています。
公立小学校を25年勤め上げた元教員の当校講師に確認したところ、
「熱心な先生や研究授業などの機会でもないかぎり、子ども達が学校で実際に、展開できるような教材で学ぶケースは少ない、」
とのこと。
また、個別指導塾スクールNOBINOBIのように“展開できる立体”で学習支援を行っている塾も少ないのではないでしょうか。
ご紹介した“展開できる立体”は、材料の厚紙と鉛筆、定規、コンパス、ハサミ、カッターマットなどがあれば、ご家庭にある空き箱や廃材、文房具でだれでも簡単に作ることができます。
ここに挙げたのは、ほんの一例。
他にも様々な形の空き箱があったり、もっと複雑な形の“展開できる立体”を作ることもできます。
自分で手を動かして作れば、さらに理解を深めて“空間認識能力”をグッと引き上げることもできるのです。
立体を含めた“空間認識能力”は、人間が生きていく上で欠かすことのできない力の一つ。
※“空間認識能力”につきましては、記事最後の『豆知識コーナー』をご参照ください。
苦手意識を持っている生徒さん、保護者の皆様は、この機会に是非一度、空き箱をそのまま利用できる直方体から試されてみてはいかがでしょう。
大切なのは、手段ではなく目的。
理解できるようになるなら、専用教材、自作教材、どちらでもいいのです。
試して頂ければ、きっと、その学習効果を実感して頂けると思います。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
“中学数学の図形”解き方のポイントにつきましては、下記の記事をご参照ください。
豆知識:空間認識能力とは?
空間認識能力とは、どのような力なのでしょうか。
物体の位置・方向・姿勢・大きさ・形状・間隔など、物体が三次元空間に占めている状態や関係を、すばやく正確に把握、認識する能力のこと。空間認知(くうかんにんち、英: spatial perception、独: Raumwahrnehmung)、空間識(くうかんしき)、空間知覚(くうかんちかく)の能力をいう。
三次元空間における物体の状態や関係(位置・方向・形状・姿勢・間隔・速度など)を、すばやく正確に把握する能力。平面図から立体的な空間を想像したり、球技で飛んでくるボールの軌道を瞬時に把握したりする能力がこれにあたる。
とのこと。
物体の大きさや形、位置や方向、距離、間隔やスピードなどをつかむ“空間認識能力”は、単に算数数学の世界だけで役立つ力ではありません。
元をただせば、弱い存在だった“人間”が、過酷な自然界で生き残っていくためになくてはならない力の一つ。
事故に合わないなどの日常生活から、運動、スポーツ、芸術活動や将来の職業選択まで、自分自身を助けてくれる頼もしい力と言えるのです。