筆者が教員だったのは、
いまから28年ほど前の話。
ちょうど体罰が問題に
なり始めた頃です。
いまほど保護者様の目は
厳しくなかったとはいえ、
体罰なんて
当時の公立高校でも
ほとんど
見聞きしませんでした。
ですが、
これだけ教育現場を見つめる
世の中の目が厳しくなった現在でも、
体罰と懲戒の区別がつかない
教員が普通に教壇にたってる事実を
ある保護者様から
直接知らされ愕然としました。
先日、お若いWEB関係の
女性経営者の方と
お話しをする機会
がありました。
いろいろと
良いアドバイスをいただいたので、
こちらも何かお役に立ちたいと思い
うちの教室の取り組みを
ご紹介したのです。
すると耳を疑うような
「教員による体罰」
をお話ししてくださいました。
そこで今回は、
いまこの時も
平然と続けられている
教員による体罰と
教育を受ける権利について、
事実に基づいてお話しします。
目次【タップでジャンプ】
お母様から伺った、教員からの体罰
衝撃の事実を
お話ししてくださった
この経営者の方は、
新潟市近隣市町村にお住い。
小学校5年生の
お母様でもあります。
普段から
お子さんの学校の
宿題が多すぎる
と感じていて、
さらに、意味のない
繰り返し練習が多すぎる
ことが気になっていた
とのこと。
お子さんは
野球に打ち込む
スポーツ大好き少年。
練習から帰ってきて、
疲れて寝てしまって
宿題ができないときもある
そうです。
ある日、
「宿題を忘れた事を
担任教員に伝えると、
2時間学校の授業を
受けさせてもらえなかった。」
とお母様に話したそうです。
これは
と、学校に問い合わせると、
その教員が家にやってきて
「宿題が多すぎたでしょうか?」
と言ったとのこと、
まだ若い教員だそうです。
「授業を受けさせない」は体罰?
学校教育法は
「体罰」について
しっかり規定
しています。
「校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、文部科学大臣の定めるところにより、児童、生徒及び学生に懲戒を加えることができる。ただし、体罰を加えることはできない。」
(学校教育法第11条第1項)
では
体罰と懲戒は何が違う
のでしょうか。
法務省(旧法務府)の見解
「生徒に対する体罰禁止に関する教師の心得」には、
体罰と懲戒の違いを
具体的な例で示しています。
(ア)用便に行かせなかったり、食事時間を過ぎても教室に留め置くことは肉体的苦痛を伴うから、体罰となり、学校教育法に違反する。
(イ)遅刻した生徒を教室に入れず、授業を受けさせないことは、たとえ短時間でも、義務教育では許されない。
(ウ)授業時間中怠けたり、騒いだからといって生徒を教室外に出すことは許されない。
(エ)人の物を盗んだり、こわしたりした場合など、こらしめる意味で、体罰にならない程度に、放課後残しても差し支えない。
(オ)盗みの場合などその生徒や証人を放課後訊問することはよいが、自白や供述を強制してはならない。
(カ)遅刻や怠けたことによって、掃除当番などの回数を多くするのは差し支えないが、不当な差別や、酷使はいけない。
(キ)遅刻防止のための合同登校は構わないが、軍事教練的色彩を帯びないように注意すること。サイト「学校教育法」より引用
前述の小学生のお子さんは、
宿題を忘れたため
授業を全く受けさせて
もらえなかった
ので(イ)に該当します。
「宿題を忘れたことを理由に
2時間授業を受けさせない。」
は、“体罰”です。
お子さんは教員の対応に
精神的ショックを受け、
翌日は学校を休んでしまった
とのこと。
教員側にも
言い分はあるのでしょうが、
保護者から指摘を受けたことで
自分に責が及ぶことを恐れ、
慌てて
「授業を受けさせない」
体罰という大問題を
「宿題の多寡の問題」
とすり替えたのだな
という印象を
お話しから受けました。
教育を受ける権利とは?
「教育を受ける権利」は、
中学生の公民でも習う
日本国憲法(26条)で
規定されている
すべての国民の
権利の一つ。
一教員はおろか
校長といえども
「体罰を加えることはできない」
と前述の
学校教育法第11条第1項で規定
されています。
ましてや、
教員は公務員、
「全体の奉仕者」です。
教職課程を終え、
教員免許を持ち、
教員採用試験に
合格した者なら、
知らないでは
済みません。
筆者が伺った限りでは、
お子さんが授業を妨害したり
教員にたてついたりした
様子はありません。
仮にそうだったとしても、
別室で授業を受ける権利
はあるのです。
授業を受ける権利を
侵害する事は、
義務教育の観点からも
禁止されています。
大学卒業とともに
教壇に立った筆者。
教壇から降りた
理由の一つに、
社会経験なく
学生の延長で教壇に立った
ことは失敗だった…
という想いもあり、
その想いはいまでも
厳然と心の中に
あります。
学卒後すぐ教壇に
立てることは
制度上認められていますので、
仕方ないこと
ではありますがせめて、
「文部科学省体罰の禁止及び児童生徒理解に基づく指導の徹底について(通知)」
(24文科初第1269号平成25年3月13日)の
「1体罰の禁止及び懲戒について」
内に示されている
「もとより教員等は 指導に当たり、児童生徒一人一人をよく理解し、適切な信頼関係を築くことが重要であり、このために日頃から自らの指導の在り方を見直し、指導力の向上に取り組むことが必要である。」
の文言の意味を
全ての教員が
しっかりと胸に刻んで、
職務にあたって頂きたい
と切に願っています。
「教育を受ける権利」を奪う者からお子さんを守るには?
万一
教員による体罰
が起きた場合は
「教師を得意とする弁護士」
(関連サイト「legalus リーガラス」)
の先生方もいらっしゃいます。
無料で
いじめや体罰など、
子どもの人権問題に関する相談を
受け付けている
専用相談電話
「子どもの人権110番」
(フリーダイヤル0120-007-110、有料ダイヤルはこちら)
もあります。
児童・生徒からの相談は
もちろん、
保護者からの相談も受け付け
てくれますし、
電話を受けるのは
法務局職員や
人権擁護委員ですので
安心してご利用できることを、
頭の隅に置いて
いただければ幸いです。
「教育を受ける権利」を奪う者からお子さんを守る方法 まとめ
「先生も大変な時代だから…」
と、教員を擁護する意見も
多く聞かれる
ようになりましたが、
それは、
教育に情熱をもって
取り組んでくださっている
先生方を応援する声です。
筆者が教壇に立っていた
二十数年前も、
教員の仕事は
決して楽ではありませんでした。
「聖職」
なんてカビの生えた言葉を
使う気はさらさらありませんが、
子どもたちの将来を左右する
影響力を持ちえる仕事である以上、
自らの職責を
理解できない教員は
すぐにでも
教壇を降りて頂きたい
のが本音です。
前述のような人間が
採用され、
平然と子どもたちの前に
立っているせいで、
真に子どもたちのために
働きたいという
意欲に満ちた教員志望の方が
教壇に立てなくなっている
のですから。
民間教育の中にも、
子どもたちの未来のために
身を粉にして働いている
先生方もいらっしゃいます。
筆者も
学校ボランティア活動や
地域への奉仕活動を通して、
子どもたちだけでなく
学校組織や教員、
地域に対して、
民間教育に携わる者の
一人として
協力だけでなく
注視を続けております。
保護者の皆さまにも、
是非
「密室」になりがちな
学校内で行われる
お子さんの権利侵害は
断じて許さない、
という強い意志のもと
教育現場への厳しい注視を、
お子さんが社会に出るまで
継続して頂ければ幸いです。
ありがとうございました。
【 参考資料 】
文部科学省 学校教育法第11条に規定する児童生徒の懲戒・体罰等に関する参考事例
文部科学省体罰の禁止及び児童生徒理解に基づく指導の徹底について(通知)
24文科初第1269号 平成25年3月13日
【関連記事】
教室の取り組みにつきましては、下記の記事をご参照ください。