分母の違う分数をたしたりひいたりするときに必要な作業“通分(つうぶん)”。
“分数の通分”は、文部科学省の新学習指導要領でも、小学校5年生で勉強する算数の単元です。
この通分は、中学校、高校など学生時代だけでなく、社会に出ても意外と使うことの多い作業。
ですが、日々学習サポートに取り組む中、小中学生で苦手に感じる生徒さんたちがかなりいると感じます。
新潟市のマンツーマン個別指導塾スクールNOBINOBIに通う塾生さんの中にも





こちらの記事を書かせて頂いたのは、

●開校5年半で、新潟県内トップ私立高校合格者を輩出。
●年評定平均:中学時代3.7→高校進学後4.9、4.8の塾生を輩出。
●サポートした不登校の卒塾生、大学へ進学。
●当ブログ、にほんブログ村カテゴリー「中学受験(個人塾)」
で、2020年6月から9ヶ月連続ランキング1位。
2020年1月、開設13ヵ月目で月間3万PV超。
●元公立高校教員
●現役カウンセラー
分数の通分|誰でも使えるテクニック
こちらの記事でご紹介する分数の通分に役立つテクニックとは、
“バタフライ・フラクション(ちょうちょ分数)”と呼ばれている通分の方法です。
本来は、学校のように具体的な事例(たとえば、2種類のピザをみんなで分ける)で“わかる”ようになってもらってから、計算方法に進む方が良いのです。
ですが、具体例で理解がぼんやりしたままのお子さんがいても、学校のカリキュラムはどんどん進んでいってしまいます。
そんな理解しにくかった皆さんにも、イメージしやすく、かつ正しい答えを導きやすくしてくれるのがこの
“バタフライ・フラクション”。
数学先進国インドの公教育でも使われている解き方なのです。
出典:All Kids Can Learn Arithmetic(アメリカ小学校数学教師向け専門能力開発プログラム)
MOVE ITMath™(ヒューストン大学ビクトリア校,1993-2003)
NOBINOBIでは、さらにブラッシュアップした“チョウ分数”で、塾生さんの正答率アップに役立てています。
かなりデフォルメしたオリジナル図を使って解説していますので、虫嫌いの皆さんにも安心して見て頂けるはず。

分数の通分“チョウ分数”|分子が1の場合
まずは、分子が両方“1”のたし算です。
通分“チョウ分数”足し算(加法)
簡単な例題の計算をもとに、丁寧に解説します。

チョウ分数の解き方の手順
①分母と分母の間に、チョウのしっぽをかく。
分母の違う分数をたすには、分母を同じ数にしないと計算できません。
そこで“分母の数どうしをかける”ことからとりかかります。
V字の部分が、チョウのしっぽ(胴体の先端)になります。
②ななめにちょうの羽根をかき、分子のほうに触角をかく。
ななめに、分母と分子を囲むようにチョウの羽根をかきます。
さらに、分子のほうにチョウの触角をかきます。
③羽根の中に入っている分母と分子をかける。
かけて出た答えは、触角の先に書きこみます。
④残りも、同じように羽根をかいて、分母と分子をかける。
すると、こんなチョウがかけると思います。
⑤もう一匹チョウをかき、計算した数を書きいれる。
計算して出した数を、分母と分子に書きこみます。
これで、元の式を分母が同じ分数のたし算の式に変えることができました。
面倒なときはチョウをかかず、式だけでも大丈夫。
あとは…
⑥分子どうしをたして、おしまい!
通分“チョウ分数”引き算(減法)
引き算はどうでしょうか。

これは計算の記号を変えただけ。
計算方法は、先ほどの足し算⑤までと全くおなじです。
計算し終わった数をチョウに書きこむと…

分数の通分“チョウ分数”|分子が1でない場合
分数は、分子が“1”の場合だけとはかぎりません。
でも、安心してください。チョウ分数は、分子が1でなくても同じように使えます。
分子が1でない場合の計算を見ていきましょう。
通分“チョウ分数”たし算(加法)
今回も例題で見ていきます。

分子が1でない場合の解き方の手順
①分母と分母の間に、チョウのしっぽをかく。
分母が1の場合と同じように、分母の数どうしをかけます。
②ななめにチョウの羽根をかき、分子のほうに触角をかく。
分母と分子を囲むようにチョウの羽根をななめにかき、触角をかきます。
③羽根の中に入っている分母と分子をかける。
答えを触角の先に書きいれます。
④残りも同じように羽根をかき、分母と分子をかける。
すると、こんなチョウになります。
⑤もう一匹チョウをかき、計算した数を書きいれる。
面倒なら、式だけでも大丈夫です。
⑥分子どうしをたして、おしまい!
分子が分母より大きくなったら…
分子が分母より大きい数になりました。これを“仮分数(かぶんすう)”といいます。
分母より分子が小さい分数は“真分数(しんぶんすう)”といいます。
整数と真分数がくっついている分数を“帯分数(たいぶんすう)”といいます。
答えが仮分数になったときは、帯分数になおしてみましょう。
方法は簡単。
分子の中に分母の数がいくつ(何セット)あるか確認して、それを整数におきかえます。
まず分子の17を、“分母の数”と“17から分母の数を引いた数”にわけます。
12個に分けたものを12個集めれば、整数“1”になります。
ですので、
仮分数は、このように帯分数であらわすことができるのです。
では、ひき算はどうでしょうか?
これも分子が“1”のときと同じですので、この例題の“たす”を“ひく”に変えて、挑戦してみてください。

分数の通分、計算テクニック|まとめ


最後までご覧頂き、ありがとうございました。
のんママさんうちの子、数学が苦手で…のびのびなんとかしてあげたいですね!中学生で数学に苦手意識を持っている生徒さんは、小学生時代の算数でつまづいている場合が多いもの。[…]
分数の計算を円で丁寧に解説した記事につきましては、下記の記事をご参照ください。
分数の計算ときくと、苦手に感じてしまう小中学生の皆さんもいるのではないでしょうか。分数の計算中でも“通分”は小学校5年生で勉強する算数の単元。教科書でも取り上げられているように日常の場面を、例えば[…]
豆知識|分母分子が2ケタになったとき
分数は、分母分子が1ケタの数字だけとはかぎりません。
分母分子が2ケタの計算がでてきたとき、計算を楽にしてくれるのが“倍数(ばいすう)”と“約数(やくすう)”という考え方。
それぞれ詳しく説明すると、文字数の多い“記事”になってしまいます。
ですので、ここではおまけの豆知識として簡単に解説します。
倍数(ばいすう)
ある整数に整数をかけた数を、ある整数の倍数(ばいすう)といいます。
たとえば、整数“3”に整数“1”、“2”、“3”をそれぞれかけると、
“3”、“6”、“9”になります。この“3”、“6”、“9”それぞれが整数“3”の倍数です。
日常生活では、3の1倍、2倍、3倍と呼んでいます。
また、2つ以上の整数に共通な倍数を“公倍数(こうばいすう)”といいます。
公倍数の中で、一番小さいものが“最小公倍数(さいしょうこうばいすう)”。
公倍数は、すべて、最小公倍数の倍数になります。
2ケタ以上の分母をもつ2つの分数を通分して計算するとき最小公倍数をさがすことで、
数を小さくすることができ、計算しやすくなるのです。
約数(やくすう)
ある整数を割りきることができる整数のことを“約数(やくすう)”といいます。
2つ以上の整数に共通な約数を、それらの整数の“公約数(こうやくすう)”といいます。
公約数の中で、一番大きいものが“最大公約数(さいだいこうやくすう)”。
公約数は、すべて、最大公約数の約数です。
公約数は、分母と分子が2ケタの分数を簡単な分数に変えるときや、最小公倍数をみつけだすときに使います。