

- 記事の内容
●「自立」とは、他の助けや支配なしに自分一人の力だけで物事を行うこと
●「自律学習」とは、小学生、中学生、高校生の目標となる学習の姿勢
●「自立学習」とは、ひとりだちするための勉強全般
●まとめ まず必要な学習
- 記事の信頼性
こちらの記事を書かせて頂いたのは、

●開校5年半で、新潟県内トップ私立高校合格者を輩出。
●年評定平均:中学時代3.7→高校進学後4.9、4.8の塾生を輩出。
●サポートした不登校卒塾生、大学進学。
●当ブログ、にほんブログ村カテゴリー「中学受験(個人塾)」
で、2020年6月から6ヶ月連続ランキング1位。
●元公立高校教員
●現役カウンセラー

「自律」と「自立」の意味の違いは?
学校の教育目標に謳われる「自主、自律の精神」の「自律」。
よく「○○的自立」といった使われ方をする「自立」。
両方とも「じりつ」と読みますので、なんとなく使われている場合が多いような気がします。
ですが、調べてみると、ハッキリした違いがあることがわかります。
「自律」とは?
「自律」とは、どんな状態を指すのでしょうか?
無料のウェブ百科事典「コトバンク」で調べると、
1 .他からの支配・制約などを受けずに、自分自身で立てた規範に従って行動すること。⇔他律。
2 .カントの道徳哲学で、感性の自然的欲望などに拘束されず、自らの意志によって普遍的道徳法則を立て、これに従うこと。⇔他律。出典:デジタル大辞泉(小学館)
1.他からの支配や助力を受けず、自分の行動を自分の立てた規律に従って正しく規制すること。
「学問の-性」
2.[哲] 〔ドイツ Autonomie〕 カント倫理学の中心概念。自己の欲望や他者の命令に依存せず、自らの意志で客観的な道徳法則を立ててこれに従うこと。
同音語の「自立」は他の助けや支配なしに一人で物事を行うことであるが、
それに対して「自律」は自分の立てた規律に従って自らの行いを規制することをいう。出典:大辞林 第三版(三省堂)
1. 自分で自分の行ないを規制すること。外部からの力にしばられないで、自分の立てた規範に従って行動すること。
※学校教育法(1947)一八
2.カントの倫理学の根本原理の一つ。実践理性が、欲望に動かされることなく、みずから普遍的道徳法則を立て、それによって自分の意志を規定すること。出典:精選版 日本国語大辞典(小学館)
個人が他者の統制にしばられずにみずからの規範,準則,目的といった規準を定立し,みずからの意見がみずからの行為を律する余地があるとき,そこに個人の自律ないし(または)自治があるという。
出典:世界大百科事典(平凡社)内「自律の言及【自治】」より
学校教育法(昭和二十二年三月三十一日法律第二十六号)(抄)
第二章 小学校
第十八条 小学校における教育については、前条の目的を実現するために、次の各号に掲げる目標の達成に努めなければならない。
一 学校内外の社会生活の経験に基き、人間相互の関係について、正しい理解と協同、自主及び自律の精神を養うこと。
「自律」は、教育の分野では、学校教育法でも使われているなじみ深い言葉。
「自律」を使った言葉で他によく目にするのは、「自律神経」や「自律型ロボット」という使い方。
「自動お掃除ロボット」は、身近な自律型ロボットの代表です。
自律型ロボットとは、
おおまかにはコントローラーの無いロボットのことです。
日々の生活の中で一番身近な自律型ロボットは、自動お掃除ロボットです。
ご存知のように自動お掃除ロボットは、さまざまなセンサーなどで、家具などを回避しながら掃除をし、充電が切れそうになったら自動で充電をします。
このように人間は操作せず、ロボット自身が判断をして動くロボットのことを指します。
哲学者カントさんの考えは一旦脇において、「自律」をひらたく言いかえると、
自分の行動を、自分の立てたルールに従って正しくコントロールすること
とも言えます。
「自律」の反対は「他律」。
コントローラーがないと動かない、指示命令がないと動けない、そんな状態をさす言葉と言えそうです。
「自立」とは?
一方「自立」とは、どんな状態でしょうか?
再び「コトバンク」によりますと、
他への従属から離れて独り立ちすること。他からの支配や助力を受けずに、存在すること。
「精神的に-する」出典:デジタル大辞泉(小学館)
他の助けや支配なしに自分一人の力だけで物事を行うこと。
ひとりだち。独立。 「親もとを離れて-する」出典:大辞林 第三版(三省堂)
他への従属から離れてひとりだちすること。一本立ち。
出典:精選版 日本国語大辞典(小学館)
「自立」は、今から2100年ほど前の中国前漢の時代に編纂された歴史書
「史記」の「伍子胥(ご ししょ?)列伝」で
「呉王僚を刺さしめて自立す。」
という一節でもすでに出てきていて、
「自分で帝王の位につくこと。」
なんて、ちょっとおっかない意味で使われています。
キャリア教育の世界ですと「自立」とは
仕事(技能)の自立
(自分で考えて業務ができること)
経済面での自立
精神的な自立
身体的自立
の4つあるとしています。
使い方の例としては「自立支援」や「自立歩行ロボット」が挙げられます。
ロボット工学系の専門学校のホームページでは、「自立歩行」=「二足歩行」と表記されていました。
「自立」とは、
他の助けや支配なしに自分一人の力だけで物事を行うこと、技能面、経済面、精神面、身体、まさに自分の足で立つ
状態のことを表していると言えそうです。
では「自立」の反対は何でしょうか?
「孤立」と表現する方もいらっしゃいますが、一般的には「依存」。
自立は英語で「 in-dependent」、直訳すれば「非依存」となります。
自分の足(能力)では立っていられない、
そんな状態をさす言葉と言えそうです。
自立と依存の関係につきましては、ご自身も障害をお持ちで、障害を持つ方の視点で捉えた、小児科医で東京大学先端科学技術研究センター特任講師の熊谷晋一郎(くまがやしんいちろう)先生のこちらのインタビュー記事をご参照ください。
人権問題の啓発・教育、冊子発行、講師派遣、イベント、ラジオ番組等で人権の理解を促す活動を推進。…
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「自律学習」と「自立学習」の違いは?
こんな風に言葉の歴史や使い方から見てくると、
「自律学習」と「自立学習」の違いもはっきりしてくる
ように思えます。
「自律学習」とは?
筆者の私見も含めてザックリ表現すると、
「自律学習」とは、学校教育法にも出てくる、教育の分野では一般的な表現で、
自分で自分をコントロールできるということ。
勉強だけでなく、部活動、委員会活動、習い事、家の手伝いでも、どんな学びでも、100%といかないまでも、やると決めたことは取り組める状態、そんな学習姿勢を指す言葉といえるのではないでしょうか。
どちらかというと、小学生から高校生の目標となる「学習」の姿と言えそうです。
「自立学習」とは?
では「自立学習」はどうでしょうか?深読みしすぎかもしれませんが、筆者は、
「自立のための学習」=「自立を手にするための学習」
の意味を読み取ってしまいます。
例えば、就職をひかえた高校生、大学、短大、専門学校の学生さんたちなど、
将来ひとりだちするために必要な学び全体をさす言葉
と、とらえられます。
どちらかというと、キャリア教育の世界で使われる言葉という印象が強いのです。
「自律学習」が教育の分野で使われるわけ まとめ
こちらの記事では、
●「自立」とは、他の助けや支配なしに自分一人の力だけで物事を行うこと
●「自律学習」とは、小学生、中学生、高校生の目標となる学習の姿勢
●「自立学習」とは、ひとりだちするための勉強全般
筆者も含め、教育にたずさわる者にとっては
「自律学習」も「自立学習」もどちらも大切な考え方です。
ただ、まず初めに身につけるべき学習姿勢とは、お母さん、お父さん、先生や塾講師、指導者が、1から10まで手取り足取り面倒を見なくても、
自分をコントロールして勉強できる「自律学習」
ではないでしょうか。
これが身につかなければ、社会にでて自分で自分を支えられる「自立」した状態を手にいれることは難しくなってしまうと思うのです。
わざわざ教育の法律の条文で使われているのも、そんな想いや願いが込められているのでは…
と考えています。
些細なことかもしれませんが、こういったことまで強く意識して
生徒さん一人一人の「自ら学ぶ力」を引き出してあげたい!
「自律学習」を身につけてもらいたい、
そして、
将来の自立に向けたお手伝いを続けていきたい…
そう考え、日々の取り組みに活かしているのです。

少しでもお役に立てれば幸いです。
こちらでは、新潟市のマンツーマン個別指導塾“スクールNOBINOBI”の一番の強み多くの仕事が無くなり変わっていく時代・世の中でも、生き抜く力をのばす「自律学習」についてお話ししていきます。&nb[…]
教室の取り組みにつきましては、下記の記事をご参照ください。