こちらの記事は
文部科学省の資料を基に
例や様式まで再確認。
導入事例から見えてきた課題も取り上げています。
この記事だけで概要をつかんで頂けるようになっております。
賛否両論あるでしょう?
家庭での対処法は?といった疑問点まで…
- 記事の内容
● 2020 年4月より,すべての小学校,中学校,高等学校において実施する。
● 子どもたち自身のキャリア形成に役立てるため、学習の過程を記録して振り返ることができる教材として作る。
● 自分の変化や成長を自分で評価できるよう工夫された「運びながら出し入れできる書類ケース」のようなもの。
● 実践研究授業では、教育現場での運用時の課題も浮き彫りになっている。
● 専門家の間でも、賛否両論ある。
- 記事の信頼性
●開校5年半で、新潟県内トップ私立高校合格者を輩出。
●年評定平均:中学時代3.7→高校進学後4.9、4.8の塾生を輩出。
●サポートした不登校卒塾生、大学進学。
●当ブログ、にほんブログ村カテゴリー「中学受験(個人塾)」で
2020年6月より12ヶ月連続ランキング1位。開設15ヵ月目の2021年3月、4万PV達成
●元公立高校教員
●現役カウンセラー
目次【タップでジャンプ】
キャリア・パスポートってなに?
キャリア・パスポートって?
キャリア・パスポートとはどんなものでしょうか?
その書き方や自分自身への評価の指導は、
とされています。
キャリア・パスポート、具体的には?
目的や定義は頭ではわかっても、なかなかイメージしにくいと思います。
実際に学校で使うキャリア・パスポートは具体的にどんなものなのでしょうか?
あくまで、都道府県教育委員会や各地域・各学校で柔軟にカスタマイズしてつかうものとされていますが、文部科学省はテンプレート例も公開しています。
また、新潟県教育委員会はキャリア教育用資料「夢ナビカルテ」を公開しています。
「見てみたい!」とお考えの皆様は、こちらの記事の最後豆知識コーナーに文科省、新潟市の資料のURLをまとめて掲載しましたので、参考にされてみてはいかがでしょうか。
キャリア教育に役立つ動画サイトをご紹介している記事も、併せてご参照ください。
キャリア・パスポート、実践例と課題
キャリア・パスポートを活用した取り組みは、一部の学校では以前から始められています。
鳥取県の北栄町立北条中学校では、平成30年度にパナソニック教育財団の助成で実践研究授業が行われ、その結果がレポートにまとめられています。
『「キャリア・パスポート」を活用した「学びに向かう力」の涵養 副題 ~毎時間の学習の見取りをキャリア形成の見通しへ~』
レポートに目を通して頂ければ「教科ごとに特性が異なるため、教科や単元での取り組みがまちまちになり、全体として統一した取り組みになりにくい」など、教育現場での運用時の課題も浮き彫りになっていることがお分かりいただけると思います。
キャリア・パスポート、小中高で2020年度から導入 まとめ
こちらの記事は、個別指導塾を新潟市で運営しているNOBINOBIが、
キャリア・パスポートとはどのようなもので、
どんな意図で教育現場に導入されるのか、
また、導入にあたってどんな注意点があるのか
について、文部科学省が令和元年8月21日に公表した『「キャリア・パスポート」の様式例と指導上の留意事項』から見てきました。
最後にもう一度ポイントをまとめておきます。
● 2020 年4月より,すべての小学校,中学校,高等学校において実施する。
● 子どもたち自身のキャリア形成に役立てるため、学習の過程を記録して振り返ることができる教材として作る。
● 自分の変化や成長を自分で評価できるよう工夫された「運びながら出し入れできる書類ケース」のようなもの。
● 実践研究授業では、教育現場での運用時の課題も浮き彫りになっている。
● 専門家の間でも、賛否両論ある。
英語必修化、プログラミング必修化、道徳の教科化など、新学習指導要領完全実施によって教育現場に大きな変化が起こる2020年度。
キャリア・パスポートの導入には、賛否両論あるものの、2020年4月からスタートしています。
また、キャリア・パスポート自体、学校単位や都道府県レベルでカスタマイズされる可能性もあります。
各学校から説明があるはずですので、まずは、ご家庭でその内容をしっかり把握されることから始めていただきたいと思います。
現状では研究例は少なく、賛否両論ある状況です。ですので、肯定的意見、否定的意見両方のリンクを掲載しておきます。
肯定的な意見
「教育改革」で学校に新たな動き! 「目標達成主義」と批判渦巻く「キャリア・パスポート」を考える(前編)
余裕がない教員、精神疾患による休職は「年間5,000人」――キャリア教育の現状と学校の悲鳴(後編)
否定的な意見
役立たずの自己分析もどきをやらされる全国の小中高生が気の毒だ
筆者個人としましては、
各ご家庭でお子さんとの会話のきっかけや、お子さんの将来のためのツールの1つとして、活用できるところだけ活用
して頂ければ、と考えております。
キャリアパスポート 豆知識
文部科学省テンプレート、新潟県教育委員会キャリア教育用資料のリンク
文部科学省テンプレート例のリンクはこちらです。
新潟県教育委員会はキャリア教育用資料「夢ナビカルテ」のリンクはこちらです。
キャリア・パスポートの目的は?
キャリア・パスポートの目的とはなんでしょうか?
文部科学省は、令和元年8月21日公表『「キャリア・パスポート」の様式例と指導上の留意事項』で、キャリア・パスポートの目的を、
児童生徒にとっては、
小学校から高等学校を通じて自分の学習状況やキャリア形成を見通りしたり,振り返ったりして,自己評価を行うとともに、主体的に学びに向かう力を育て、自己実現につなげるもの
教員にとっては、
キャリア・パスポートの記述をもとに対話的にかかわることによって,児童生徒の成長をうながし,系統的な指導に役立てるもの
としています。
キャリア・パスポート、導入のいきさつは?
「キャリア・パスポート」は、平成28年12月に中央教育審議会の「幼稚園,小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策について(答申)」で導入が提案された教材の一種。
小学校、中学校、高校の「特別活動をはじめとしたキャリア教育(※1)に関わる活動」で、
学習の過程を記録して振り返ることができるポートフォリオ的な教材(※2)を作って活用することで、子どもたち自身のキャリア形成に役立てていこう
との考えから生まれたものです。
平成 29 年 4 月、特別支援学校小学部・中学部学習指導要領、
平成 30 年3月、高等学校学習指導要領、
平成 31 年2月、特別支援学校高等部学習指導要領
がそれぞれ公示されたのを機に、平成28年12月に中央教育審議会の提案と新学習指導要領総則での記載を受けて「キャリア・パスポート」導入にむけた調査や準備が始められました。
そして、平成31年3月29日の事務連絡『「キャリア・パスポート」例示資料等について』、令和元年8月21日『「キャリア・パスポート」の様式例と指導上の留意事項』が公表されました。
この文書の終わりには、「キャリア・パスポート」の導入時期を2020 年4月より,すべての小学校,中学校,高等学校において実施することとすると明記しています。
※1)文部科学省が考える「キャリア教育」とは?
学校の活動全体を通して、子どもたちが自分のキャリアを形づくるのに必要な「いろいろなことに使える能力を育てていく」こととされています。
※2)「ポートフォリオ的な教材」とは?
ポートフォリオ(Portfolio)とは、直訳すると「書類入れ」という意味。
運びながら出し入れできる書類ケースのイメージ、といったところでしょうか。
キャリア・パスポートの内容の説明 9つのポイント
前出の文部科学省『「キャリア・パスポート」の様式例と指導上の留意事項』には、キャリア・パスポートの「内容の説明」として、9つのポイントが次のように挙げられています。
(1)児童生徒が自分で記録し,学期,学年,入学から卒業までの学習を見通し,振り返るとともに,将来への展望を計画して、実現を目ざすことができるようにする。▶ 児童生徒が記録する日常のワークシートや日記,手帳や作文等は「キャリア・パスポート」をつくるときの重要な材料として、学年ごとや入学から卒業までなど中・長期的な振り返りと見通しができる内容にする。
(2)学校生活全体及び家庭,地域における学びを含む内容にする。▶ 教科・科目のみ,学校行事等のみの自己評価票とならないように注意する。
①「教科学習」
②「教科外活動(学校行事,児童会活動・生徒会活動やクラブ活動,部活動など①以外の学校内での活動)」
③「学校外の活動(ボランティア等の地域活動,家庭内での取組,習い事などの活動)」
の3つで振り返り,見通しが持てるような内容にする。▶ 特別活動を中心として、各教科・科目等とそれぞれの「学び」が行き来していることを児童生徒がみてもわかるように工夫する。(3)学年や小中高を越えて持ち上がることができるものにする。▶ 小学校入学から高等学校卒業までの記録を蓄積できるような内容にする。▶ 各シートはA4判(両面使用可)に統一し,各学年の記録は5枚以内にする。
(4)大人(家族や教員、地域住民等)が対話的に関わることができるものにする。▶ 家族や教師,地域住民等の負担がひどくならないように気を配りながら、児童生徒が自己有用感を持てるようにしたり自己変容の自覚に結び付けられるような対話を重視する。
(5)細かい説明がなくても児童生徒が書けるようなものにする。
(6)学級活動・ホームルーム活動で「キャリア・パスポート」をつかう場合は、その内容と実施時間数にふさわしいものにする。▶ 学習指導要領解説特別活動編を必ず確認する。
(7)カスタマイズする際には、保護者や地域などの多様な意見も参考にする。
(8)通常の学級に在籍する発達障害を含む障害のある児童生徒は,児童生徒の障害の状態や特性及び心身の発達の段階等に応じて指導する。
また,障害のある児童生徒の将来の進路については,幅の広い選択の可能性があることから,指導者が障害者雇用を含めた障害のある人の就労について理解するとともに,必要に応じて,労働部局や福祉部局と連携して取り組む。(9)特別支援学校は,個別の教育支援計画や個別の指導計画等により「キャリア・パスポート」の目的に近づけられると考える場合は,児童生徒の障害の状態や特性及び心身の発達の段階等に応じた取り組みや適切な内容とする。
キャリア・パスポートの注意点と管理 9つのポイント
キャリア・パスポートの「注意点と管理」についても、9つのポイントが挙げられています。
(1)キャリア教育は学校教育活動全体で取り組むことを前提に「キャリア・パスポート」やその基礎資料となるものの記録や蓄積が、学級活動・ホームルーム活動に偏らないように注意する。▶ 学級活動・ホームルーム活動以外の教科・科目や学校行事、帰りの会やショートホームルーム等での記録も想定。
(2)学級活動・ホームルーム活動で「キャリア・パスポート」を取り扱う場合には、学級活動・ホームルーム活動の目標や内容にぴったりあうものにする。▶ 記録の活動のみに留まることなく、記録を用いて話し合い、意思決定を行うなどの学習過程を重視する。
(3)「キャリア・パスポート」は、学習活動の一つなので、日常の活動記録やワークシートなどの教材と同様に指導上の配慮をする。▶ 児童生徒個々の状況を踏まえ、本人の意思とは反する記録を強いたり、無理な対話に結び付けたりしないように配慮する。▶ うまく書けない児童生徒への対応や学級(ホームルーム)・学年(学科)間格差解消等も日常の指導に準じる。▶ 特別支援学級に在籍する児童生徒,通級による指導を受ける児童生徒等,特に特別な配慮を要する児童生徒については,個々の障害の状態や特性及び心身の発達の段階等に応じた記録や蓄積になるようにする。▶ 学習指導要領解説特別活動編にあるように「キャリア・パスポート」は自分自身の評価、学習活動であり、そのまま学習評価とすることはふさわしくない。
(4)「キャリア・パスポート」を使って、大人(家族や教員、地域住民等)が対話的に関わる。▶ 記録を活用してカウンセリングを行うなど,児童生徒理解や一人一人のキャリア形成に努める。▶ 学級活動・ホームルーム活動の時間の中で個別の面接・面談を実施することはふさわしくない。
「キャリア・パスポート」を活用した場合も同様。(5)個人情報を含むことが予想されるので「キャリア・パスポート」の管理は、原則学校で行う。▶ 個人情報の保護や記録の紛失に十分留意する。
(6)学年、小中高と、引き継ぎ指導に活用する。▶ 小学校入学から高等学校卒業までの記録を引き継ぎ、学びの振り返りや見通しに生かす。
(7)学年の引き継ぎは、原則教師間で行う。
(8)小中高の間の引き継ぎは、原則児童生徒を通して行う。▶ 小学校と中学校の引き継ぎは、指導要録の写しなどと同封して送付できる場合は学校間で引き継ぐことも想定。▶小中高の間の引き継ぎは、入学式前後の早い段階で提出してもらい、児童理解、生徒理解に活用する。
(9)装丁や表紙等も,設置者が用意する。その際、一定の統一性があるよう工夫する。
それぞれ、原文を大きく崩すことの無いよう注意しながら、なるべく読みやすく書き換えました。
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